抱きしめてもらへぬ春の魚では 夏井いつき【季語=春の魚(春)】
抱きしめてもらへぬ春の魚では夏井いつき(『伊月集』)春の魚というと鰊(にしん)や公魚(わかさぎ)、桜鯛などが思い浮かぶ。確かに抱きしめるほどの大きさではない。鰆(さわら)になると1メートルを超すこと…
【クラファン目標達成記念!】神保町に銀漢亭があったころリターンズ【15】/上野犀行(「田」)
誰も知らない私のことも上野犀行(「田」)神保町に俳人が多く集まる飲み屋があると知ったのは、俳句を初めて間もない頃であった。私の師の水田光雄主宰が、会社帰りにでも寄ってみればよいと教えてくれた。…
一匹の芋虫にぎやかにすすむ 月野ぽぽな【季語=芋虫(秋)】
一匹の芋虫にぎやかにすすむ月野ぽぽな長らくニューヨークに住む作者は、2017年に第63回角川俳句賞を受賞したが、そのときの受賞作でもっとも印象に残った句のひとつがこれだ。郷里の信州を想った句…